瞳の奥の真実
 前川くんも認めるその腕だが、みんな判断できずにいる。

 高瀬くんを認めると言う事は、前川くんが抜けることも認めてしまうからだった。

 それなのに、岡崎くんは高瀬くんに手を伸ばした。

「よろしく」

「岡崎!」

「俺は、高瀬をフェリスの一員として認める」

「何言ってんだ!」

 水沢くんが岡崎くんの肩をつかむ。

 それを振り切るように岡崎くんは前川くんの方に向き直った。

「1年だ。1年待つ」

「岡崎……」

「1年後、高瀬さえよければ、フェリスはツインギターで行く」

 みんなは顔を見合わせた。

 ツインギター。いいかもしれない!

 みんなが高瀬くんのそばに行き、握手した。
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