瞳の奥の真実
 バンド仲間で唯一同じ大学で同じ方向に帰る岡崎くんは、水沢くんに「夏樹を頼む」と言われたと、私のそばに来た。



 なんとなく二人きりは初めてだった。

 電車が少し、すいていたのでほっとした。

 やっぱり岡崎くんとは緊張する。

 何か話さなくちゃと思い、前から聞いてみたかったことを聞いた。

「あ、あのさ、聞いてみたかったんだけど、いつもどうやって曲作ってるの?」

「言葉で表現するの難しいけど、フッと曲が浮かぶ瞬間があるんだよ」

「そうなんだ」

「この前みたいに、高瀬のギター聞いた瞬間とかさ」

「そうなんだ」

「水沢が夏樹のこと見つめてる時とか」

「え、見つめてる?」

「よく見つめてるよ。そしてその水沢を見つめる俺」

「え、なんかヤダ。その三角関係」
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