瞳の奥の真実
「三角関係じゃねえよ。俺と水沢は昔からラブラブ。そこに割り込んで来たのは夏樹の方だからな」

「もー、またそんなこと言って!」

 岡崎くんの背中をたたいた瞬間、電車が急カーブで揺れた。

 うっかり、つり革から手が離れてしまった。

 倒れそうになった時、岡崎くんの大きな手が、私を抱え込んだ。

 岡崎くんがすごく近いところで、私の顔をじっと見る。

「ちゃんとつかまってろ」

「あ、うん。あり……がとう」

 岡崎くんから慌てて離れたけど、遅かった。

 心臓がパニックを起こしていた。

 顔が火照る。

 ヤダ、岡崎くんに気付かれる。

 おちつけ、おちつけ……。
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