瞳の奥の真実
 そのうち、同じクラスの伊藤くんは、もうあきらめた様なことを言い始めた。

 それでも水沢くんと岡崎くんは、毎日のように生徒会室に来た。

「会長!一度でいいから俺らのバンドの練習、見に来てください!そしたらきっとわかってもらえる!」

 会長は渋い顔をするだけで、見に行く気は全くないようだった。

 二人はまた来ますと言って、出ていった。

 水沢くんの悔しそうな後ろ姿と、それをなだめる岡崎くんの背中が、妙に心に刺さる。

「会長、私一度偵察に行きましょうか?」

 気が付いたらそんなことを言っていた自分がいた。

 会長は私をじっと見て「頼んだ」と言った。


 
 バンドの練習場所は、となり駅の近くにある前川くんの親戚の会社の倉庫だった。

 水沢くんが置いて行った地図を頼りに歩いて行くと、すごいドラムの音がしてきて、すぐに分かった。
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