夢中にならない。
プロローグ
「悠くん。浮気してるでしょ。」

「・・・・・・え?・・・・・・・いや、してないしてない!」

「うそ。してる。正直にいって。」

麗は現在の彼氏である、悠の部屋で浮気を問い詰めていた。

「・・・・・・。ごめんなさい。」

悠は真面目な性格で隠し事が下手なので、浮気をしたことを素直に認めた。

「本当にごめんなさい!でも俺が好きなのは麗だ!その気持ちに嘘はない。それにお前とはゆくゆく結婚したいとも考えてるし。とにかく麗のことは真剣だ!浮気はほんの魔が差したっていうか・・・。」

悠は弁解をしながら、麗に好きな気持ちを伝える。それを静かに聞いていた麗は一言。

「分かった。」

それを聞き悠は麗が許してくれたことに安堵した。ただ少し麗が冷静すぎることは気にかかった。
ただし麗はもともとが冷静であり、そんなものだと思わせる程度だったが。

「ごめんな。これからはお前だけを大切にするから。」

そう告げて悠はビールを取りに立ち上がった。それでこの話は終わりだと思ったのだろう。

しかし悠は甘かった。

「ううん。しなくていいよ。」

麗が悠を見据えていう。

「は?」

「だって、私たちは今日で別れるんだもん。」



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