僕があの子を好きになっても良いですか?anotherstory
梓紗の名前が出てきてオレは反応した
小学校に入る前
お父さんとお母さんが仕事で出張に出掛けるから
オレは隣に住む黒岩家に預かられることになった
そこで出会った黒岩家の一人娘・梓紗
オレとは違って健康で
最初は羨ましかった
だけどオレはある日気が付いた
ゆっくりだけど
出会った時から梓紗に惹かれていたことに
素直に物事を言うことが出来ず
多くの人に勘違いされてしまう不器用な女の子
上手く伝えられずにもどかしい思いをしてきた彼女に
オレは惹かれていた
だけど気持ちなんて伝えるつもりなかった
オレより健康な奴が似合うと思っていたから
病弱で喘息持ちのオレと釣り合うわけないだろうと諦めていた
「梓紗ちゃんが…?」
「うん
梓紗ちゃんね
昌くんの名前の由来聞いて泣いてたよ
ずっとずっと
昌くんのことを考えて
泣いていたよ
昌くんが苦しむ度
梓紗ちゃんが泣きそうなほど
一緒に苦しんでいることを
昌くんは知っているかな?」