僕があの子を好きになっても良いですか?anotherstory
母さんが亡くなるのと時を同じくして生まれた末の弟・斗真
病弱だったけど笑顔は可愛かったのを覚えている
だけどオレは
斗真と一緒に遊んでいる來兄と竜真のことを
いつも遠くから眺めているだけだった
決してふたりのように
自分から話しかけることなどなかった
斗真の口から
「來真兄ちゃん」と「竜真兄ちゃん」と言う言葉は聞いても
「空真兄ちゃん」とは聞いたことがなかった
そんな日々だけが淡々と過ぎ
オレは高校卒業後
特に進学も就職もしないで
家でゴロゴロしている日々だけが流れて行った
竜真はその頃から
今ほどは売れていなかったけどモデルをしていたから
家にいることは少なく
対して來兄は小説家としてデビューしていたから
逆に家にいることが多かった
学生時代もそうだったけど
高校卒業後もオレはふたりに劣っていた
長男と三男は上手くやっているのに
間の次男はバイトもしないニート
…笑えない話だ