僕があの子を好きになっても良いですか?anotherstory
オレは朝から緊張していた
今日は半年に1度行う
【キララ】の中でナンバーワンホストを決める日
最近オレの人気が上がっているってオーナーから言われた
静子さんは有名だから
他のお客も自然とオレを指名してくれるようになったのだ
売上率は勿論指名率までオレは上がっていた
「最近空真って売り上げと指名率高いよな」
朝のフロア掃除を終えオレがテーブルを拭いたタオルを絞っていると
同じ当番の先輩ホストが数人話していた
「空真が今回1位じゃね?」
「あり得んなそれ」
「だけどやっぱり忍先輩だろ」
「忍先輩は10回連続1位だもんな
誰も抜かされないって言われていた
コウキ先輩の5回をアッサリ抜いたって
一躍有名になったよな」
「だからやっぱり忍先輩じゃね?」
「でもさー
忍先輩が初めて1位になれた時って
バックに静子さんがいたんだろ?
今回あの新人…空真にも静子さんついてんじゃん
最近はあんなにお気に入りだった忍先輩放置で
空真ばっかり指名しているよな」
「下剋上か?」
オレは先輩方の死角に立ちながら聞いていた
そして改めて忍先輩の凄さを知った
“下剋上”という言葉が頭に響いた