僕があの子を好きになっても良いですか?anotherstory
斗真は本を棚に戻して
小走りでオレの元に駆け寄ってきた
走り慣れていないからかぎこちないし
何だか行動のひとつひとつが幼く見える
もう少しで小学校も卒業だというのに
見た目だけだとまだ低学年に見える
「竜真兄ちゃん
今日はお仕事お休みなの?」
「ああ
斗真は具合どう?」
「大丈夫だよっ!」
斗真の大丈夫はアテにならないので額に手を当てるけど
熱もなさそうだし目も虚ろじゃない
本当に大丈夫みたいだな
「斗真
オレと一緒にどこか行くか?」
「…え?」
「元気なのに引きこもりっぱなしなのも体に悪いからな
あんまり遠くには行けないけどどこか行くか?」
斗真は不安そうに俯く
「……良いの?」
ギリギリ聞こえるぐらいの声量で聞いてきた