僕があの子を好きになっても良いですか?anotherstory
「ん?
父さんもお兄ちゃんたちもどうかした?
何でそんなに驚いているの?」
お前のせいだよ
…とは言わないで
「賛成って…何?」
「そのままの意味だよ竜真兄ちゃん」
「行っても良いのか?」
「うん
だって僕特に関係ないから
生徒さんが目当てなのはお兄ちゃんたちでしょ?
僕は家にいるから
行ってらっしゃいね」
ニコッと太陽並みに眩しい笑顔で恐ろしいことを言う弟
「いやいや…
斗真も一緒に行こうよ?ね?」
「遠慮しておくよ來真兄ちゃん」
「遠慮しないで良いからな?
斗真も一緒に行くぞ
オレたちだけじゃ無理だ!」
「空真兄ちゃんたちなら行けるよ
頑張ってね!
ファイト!」
結局数日後
オレたちは再び用事もないのに父さんの大学へ行った
警備員さんに追い払われたりでもしたら良かったんだけど
警備員さんにもサインをせがまれる始末
「きゃー!
本当にリュウだわ!」
「白羽来真さんよ!
インタビューしても良いのかしら!?」
「【キララ】ナンバーワンの空真さんよ!
キラキラしているわね!!」
研究所へ行く途中に
サイン色紙やボイスレコーダーまで持っている大勢の女が
キャーキャー騒いでいた
「くそ斗真の奴……」
「まぁ怒らないのね竜真
その気持ち大いにわかるけど」
「本人には絶対に言えないよねー」
色紙にサインを書きながらもオレは頭の中で斗真を考える
きっとそれは來兄も空兄も同じ
誰よりも弱い末の弟は
オレたちにとっては
誰よりも大事な弟だから……
「あれ?
前に来た時はもう1人弟さんいましたよね?」
「あの弟さん可愛かったよねー!
アタシまた会いたかったなー」
…やっぱり斗真来た方が良かったよな?