僕があの子を好きになっても良いですか?anotherstory
病院の受付で母の名前を言うと
病室へ案内してくれた
前を歩く看護師に母のことを聞いてみると
随分前から入退院を繰り返していたようだ
初めて母が心臓病を持っていることを聞いた
いつ死ぬかわからない状態のくせに
母は昨日どこかへ出掛けたようだ
出掛けた先で母は発作を起こして倒れ
制服姿の男女2人に救急車や薬を貰って助けてもらったようだ
「……薬?」
何故薬なんて軽々渡せるんだ?
普通医者の処方だなんだ必要なはずだろうに
「その薬はこの病院に勤務する医者が特別に処方させたもので
誰でも飲めるようになっているそうです」
「その子も何か病気を……?」
「さぁ…?
そのおふたりが誰だったのか存じませんね
こちらです」
掛けられていたネームプレートを見る限り
母―――佐藤正美は1人部屋らしかった
久しぶりに会う母
俺は実の母親なのに酷く緊張していた