僕があの子を好きになっても良いですか？anotherstory
「どうぞ」と言ってくれた看護師さんに「どうも」と返し
俺は静かに病室へ入った
「……どなた？」
久しぶりに聞く母の声
何だか昔俺を罵った声とは違う
「……よお」
なんて声をかけたら良いのかわからなくてそう言うと
母は目を丸くして両手を口元に当てた
「シゲちゃんじゃないの
元気そうね」
昔から俺はシゲと呼ばれていた
だけど今ちゃん付けされて少し恥ずかしい
「……母ちゃんも元気そうじゃねぇか」
心臓病だと聞いてドキッとしていたけど
パジャマに身を包んだ母は思ったよりも元気そうだった
「ふふっ
今は元気よ？
そう言うシゲちゃんこそどう？
結婚でもしたのかしら？」
１番触れてほしくない話題だった
