夢中にさせてあげるから《短編》番外編追加
愛児……。

なにか、なにか言わなきゃ。

私は張り付いたような喉を必死に押し開いて、彼に問いかけた。

「私……私なんかでいいんですか」

愛児は切なそうに、それでいて太陽のように笑った。

「乃愛じゃないとダメなんだ。
昨日、俺が言った言葉で乃愛を傷つけたのを謝りたい。けど決して乃愛を重い女だと思った訳じゃない!
乃愛の年齢や将来に対する気持ちを考えて、それを全部しっかり抱きとめて、責任を取り背負えるのは俺しかいない。誰よりも乃愛を愛してるのは俺だと言いたかったんだ」

もう、我慢できなかった。

手からハイヒールが滑り落ちて床に転がってしまったけど、私は愛児を抱き締めたかった。

「はい、あなたと結婚します」
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