夢中にさせてあげるから《短編》番外編追加
「断るわけないじゃん」

愛児は、私をちょっと睨んだ。

「昨日、お前怒って言っただろ『二次会で、勝手にする』って。あんな事言われると自信なくなる」

私は何だか愛児が可愛くて思わず笑ってしまった。

「イケメンなのに?」

「バカか。イケメンでも自信なくなるんだよ、夢中になってる女にあんな言い方されたら」

……夢中になってる女……。

やだ、嬉しいんだけど。

震えそうなんだけど。

私はバラの花束を見てから、愛児に視線を移した。

「まだ夢中でいてくれてたの?私に」

「夢中にさせてあげるって、お前が言ったんだろ。……でもまあ俺は、その前から夢中だったけど」
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