夢中にさせてあげるから《短編》番外編追加
ダメだ、倒れるっ!

次の瞬間、焦った愛児が素早く私の身体を引き寄せて胸に抱いた。

「おい、大丈夫かよ」

「……っ」

至近距離から顔を覗き込まれて、私は息をするのも忘れて愛児の瞳を見つめた。

筋肉の張った愛児の腕が頬に密着する。

し……死ぬー……。

愛児は私を見つめていたけど、やがてクスリと笑った。

「なんだよ」

なんだよって、なんだよって……!

「……もしかしてお前今、俺と密着してドキドキしてんじゃね?」

……ドキドキしてるわよ、しない女がいたらお目にかかりたいわ!

愛児は少しだけ眼を細めて口角を上げた。

「お前、ダッサイけど素材は悪くねーな。眼も大きくて二重だし輪郭も綺麗だし」
< 19 / 110 >

この作品をシェア

pagetop