夢中にさせてあげるから《短編》番外編追加
私はアングリと口を開けたまま、愛児の端正な顔を見つめた。

私は今まで愛児を歳上だと信じていた。

体格がよくて背が高くて、端正な顔立ちだし、いつも落ち着いていて大人っぽかった。

会う度に私を『お前』呼ばわりだし、スーツ姿は実に様になっていたし、連れ込む女は毎回モデルのような八頭身美女で。

愛児は私の受けた衝撃などには素知らぬ顔で溜め息をついた。

「マジないわ。夜に男が部屋に誘って、なんもしない訳ねーだろが。食いモンと酒につられてノコノコ上がり込むなんざ、女子力低すぎ、おまけにダサすぎ」

私は恥ずかしさや怒り、後悔などを感じてワナワナと震えた。

「……殺す」

「え?」

「殺すっ!」
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