夢中にさせてあげるから《短編》番外編追加
「いてっ!」

私は愛児の顔面に思いっきりグーでパンチをし、立ち上がった。

「あんたって最低っ!私が恋愛経験のないダサい女だから、ちょっと誘ってヤっちゃおうって魂胆だったのね!本当に最悪だよ!悪かったわね、ダサくて!」

愛児は殴られた左の頬に手を添えたまま、眼を見開いてこっちを見ている。

私は続けた。

「さっき『俺はどーなの』って言ったわよね?!どーかっつーと、私の好みはお前じゃないっ!」

私は思いきり愛児を睨み据えた。

それからそのまま、テーブルの上の鍵とスマホを掴んで玄関へと急ぐ。

ああ!なんて私はバカなんだろう!バカすぎる!

隣の自分の部屋に戻ると、私は大きく息をしてから唇を噛んだ。

なんで私、愛児の部屋に行っちゃったんだろう。

バカだ、私は!!

私はベッドに飛び込むと頭から布団をかぶりギュッと眼を閉じた。

今日はもう寝よう。

何も考えたくなかった。
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