夢中にさせてあげるから《短編》番外編追加
とか言われるに決まってる!

ど、どうしよう。

嘘ついちゃおかな。

固まったままの私を愛児は黙って見下ろしていたけど、いつまでも答えない私の前で徐々に笑みが消え、彼は次第に真顔になっていった。

「おい、答えろよ」

「…………」

嘘つく度胸が……私には、ないーっ!

「なあ、答えろって。答えないなら……」

掴まれた腕が引き寄せられ、急に愛児の顔が近くなった。

苛立たしげに光る瞳、精悍な頬に通った鼻筋。

「イライラさせんな……」

男らしい口元が僅かに開いた。
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