夢中にさせてあげるから《短編》番外編追加
な、んで?

心臓がバクバクと煩いのに、身体が動かせない。

なんで?と尋ねたつもりが声が出てなかったのか、愛児は私を抱き寄せたまま何も言わない。

互いの視線が絡む。

しばらくしてようやく、囁くような掠れた愛児の声がした。

「デートなら行かせない」

「な、んで」

「ムカつくから」

ムカつくから。

……ムカつくから?

ムカつくから?!

つまり、こういう事か。
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