夢中にさせてあげるから《短編》番外編追加
「はい……よろこんで……」

私達は近くのショットバーに入った。

見つめ合う度に気恥ずかしくて互いに照れ笑いをした。

★★★★★★

山城さんとは、電話番号を交換してビールを二杯飲んで別れた。

素直に楽しかった。

楽しかったんだけど……私は自分の部屋の前に着いたと同時に息が止まりそうになった。

……だって私の玄関ドアの前に、愛児が立っていたから。

カツンと靴音を響かせた私に眼をやると、愛児は私を凝視した。

私は愛児を見て口を開いた。

「なに?まだ虐め足りないの?」

愛児はきつく眉を寄せた。

「……そうじゃない」
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