夢中にさせてあげるから《短編》番外編追加
噛みつくように唇を寄せてキスをしてきたから、私はポカポカと愛児の固い腕を殴った。

少しだけ唇を離すと、愛児は殆んど息だけの声で囁いた。

「暴れんな」

「……っ!」

愛児は、私の二の腕を片腕で封じた。

彼はキスを止めない。

噛みつくようなキスは甘いキスに変わった。

やがて誘うような舌の動きに、私は眼を閉じた。

だって、もう、何も考えられなくなってしまったから。

まるで意味が分からない。

隣のイケメンに、こんな風にキスをされるわけも。

全身が熱いわけも、痺れるわけも。
< 57 / 110 >

この作品をシェア

pagetop