夢中にさせてあげるから《短編》番外編追加
「なにしてんの、早く乗ってよ」

私がそう言うと、愛児は我に返ったように乗り込んできた。

「なあ、もうしないから飯食いに行こう」

私は愛児を見つめた。

「大体さ、あんた、イケメンだし、女に不自由してないでしょ。他の人と行けば?私ね、今日はマニキュア買って、それから食材調達して自炊するの」

「自炊?」

「そ。料理を勉強するんだ。未来の彼のために」

エレベーターが一階につき、私は歩き始めた。

「いー事考えた。俺が教えてやるよ、料理」

私はピタリと足を止めた。

「俺、料理めちゃくちゃ得意なんだ。特別に無料で教えてやる」
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