夢中にさせてあげるから《短編》番外編追加
端正な顔に怒りの色を浮かべて、愛児は私を至近距離から睨むように見つめた。

そして、そのまま顔を近づけたかと思うと、愛児はまたしても私にキスをした。

まるで、私が自分のものだというように。

私は頭を左右に振って、愛児の唇から逃れようとした。

そんな私を見て、愛児は掠れた声で言った。

「……夢中にさせてやる、俺に。俺じゃないとダメだって、思うくらい夢中に」

愛児は私の身体を大きな手で撫でた。

それからうなじに唇を這わせる。

「っ……!」

熱い愛児の息が首筋にかかり、私は思わずビクッとして身体を反らせた。

「乃愛、乃愛、俺に夢中になれよ」

愛児は器用に私のワンピースのボタンを外した。
< 75 / 110 >

この作品をシェア

pagetop