夢中にさせてあげるから《短編》番外編追加
やだ、恐い。

でも。

でも、愛児が嫌なら彼を解放してあげるべきだ。

ズルズルはダメだ。

愛児が好きなら、彼を愛してるなら、私がしがみついてちゃいけない。

彼の事を真っ先に考えてあげたい。

「菜穂!」

気付いたら私は、すぐ傍にいた菜穂に声をかけていた。

「乃愛、どーした?」

「菜穂、ごめん。私、愛児のとこに行かなきゃ」

菜穂は私の様子を察したようで、直ぐに頷いた。

「行きな!ほら、涙拭いて!」
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