夢中にさせてあげるから《短編》番外編追加
彼はもう一度、優しく私を呼んだ。

切れ長の瞳に甘い光を宿し、形のよい清潔そうな唇を開いて。

「神崎乃愛さん、俺と結婚してください」

ああ。

なんで?なんで知ってるの。

私が、両腕にバラを抱いてプロポーズしてほしいって。

いつかバラの似合う女性になって、大好きな人にバラの花束を捧げられながらプロポーズされたかったって。

ポロポロポロポロと、後から後から涙がこぼれ出たけれど、なす術もなかった。

彼は私のところまでゆっくり歩を進めると、身をかがめて床に膝をつき、バラの花束を差し出しながら頭を下げた。

「神崎乃愛さん、あなたを愛しています。ずっとずっとこの先も、この気持ちは変わりません。どうか、どうか僕と結婚してください」
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