居場所を下さい〜声にならないSOS〜
転換期

先生





まだまだ意識がハッキリとしないまま、私は塾へ向かう。


ギリギリ間に合ったけど、その日は井関先生の授業だった。


あの日から、数学の授業は先生から1番遠い場所で受けていたのに、遅く行ったせいで最前列しか空いていない。


私は迷った。


授業内容は後から違う先生に補習してもらうことはできる。


でも、そんな二度手間は時間の無駄だとも思う。


なかなか決められないでいると、先生が入ってきてしまった。


私は仕方なく、1番前の席の端に座った。






授業中、何故か先生が難しい顔をしてこっちを見てくる。


私は、ただ私にまた不満があるだけなんだろうと解釈して、無視を決め込んだ。





…この時の先生のおかげで今、私はここにいられるんだよ。






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