居場所を下さい〜声にならないSOS〜
ふと、先生がドアを閉めようと立ち上がった。
その瞬間、私は言いようのない不安にかられて、思わず先生のスーツの裾を掴んでいた。
「ん?どうした?」
「……行かないで」
「ドア閉めるだけだから」
そう言われても、不安がなくなることはなく、私は黙って首を横にふり続けた。
すると先生は黙ってまた私を優しく抱き締めてくれた。
こんなところを他の誰かに見られたら、先生はもちろんクビだ。
そんな危険があるにも関わらず、先生は私をずっと抱き締めてくれていた。
大っ嫌いだった先生が、とても魅力的に見えた瞬間だった。