不思議なこの世界(仮)
「ここが姫様の部屋じゃ」
「ほ〜〜さすがお姫様の部屋!」
「何もかも豪華だね〜〜」
「で、お二人はなぜ部屋の中に入らず、ここから姫様を見ておるのかな?」
私たちは扉から姫様の様子を覗いていた。たぶん、真っ向から行けば余計に嫌われてしまうだろう。だから、遠目から姫様の様子を伺うことにした。
「姫様の今日のおやつって……」
「いちごのケーキじゃ。姫様はいちごが大好物でな。昔はよく王女様に作ってもらっていたのじゃよ」
さっき、じいが私の名前に反応した理由がわかった。姫様の好物はいちご。これは何か使えそうな気がする。
「って……今は作ってもらえてないの?」
じいはビクッと肩をあげ、目線を外した。確実に何かを隠しているのは明らかだった。
「じい、私たちに何か隠していない!!」
「な、何も……他国の者には関係ないことじゃ!!」
「関係ないってなによー!!!!」
「関係ないったら関係ないのじゃー!!!」
「二人ともそんなに騒ぐと……」
“バタッ”
ちょっとしか開いてなかった扉は、二人が騒ぐものだから、完璧に開いてしまった。
「「「あっ……」」」
「〜〜っ!何やってるのよ、あなたたち!!」
私たち三人はその場でしょんぼりと正座をした。じいが一番しょんぼりしていた。
「もう、私のことはほっといてよ!!!」
「ひ、姫様しかし!このお二人は姫様を思って……」
「じいまで何よ!人の部屋を勝手に覗いておいて、もう知らない!!!」
じいが姫様の怒りを鎮められるわけもなく、姫様はどたどたと部屋を出て行ってしまった。
「ガイヤも付いてこないで!!!」
姫様にそう言われると、ガイヤはその場に立ち止まった。
や、やっちゃった……
私たちの印象は相当悪くなってしまった。