不思議なこの世界(仮)
「この周辺見てきたけど、木しかなかったよ……私たちどうなるのかな……」
さえちゃんは私が目覚める間、何かないかとここいら周辺を見てきてくれていた。どうやら、ここはどこかの森の中らしい。
「ととりあえず!……どうしよ〜〜」
さえちゃんは今にでも泣いてしまいそうだった。そんなさえちゃんの顔を見たら私まで泣きそうになっきて。
「さえちゃん……私たち家に帰れるかな……」
「そうだ!!携帯で連絡を!!」
さえちゃんは制服のポケットから携帯を取り出した。私も携帯、携帯とポケットを見る。
そうだ……カバンに入れっぱなしだった……
私は図書室の机の上にカバンを置きっぱなしにしていて、その中に携帯を入れていたのをすっかり忘れていた。今度から肌身離さず持ち歩こうと誓った。
「いちご〜〜圏外だよ〜〜」
絶望的だった。
携帯も使えない、連絡も取れない、私たちここに野宿するのかな。今日帰らなかったら、お母さんたち心配するだろうな。
“ガサガサッ”
「ねえ、今落としなかった?」
「えっ、聞こえなかったけど」
さえちゃんには聞こえなかったらしいけど、私にははっきりと聞こえた。何かが近づいてくる音が……。
“ガサガサッ ガサガサッ”
「……いちご、私にも聞こえたよ」
だんだんと音は近づいてきていた。大きくなる音にさえちゃんも気づいたようだ。