黒猫の気ままに
地面に足が着いた感覚と共に、『バン』と強く閉まった音がした。




『ブォーン』と音がし出して地面が大きく揺れたと思うと、自分はなんだかゆらゆら、ただ揺られ続けていた。



その中ではどこか、聞き覚えのある声が聞こえた…ような、そんな気がした。





………………




ここはどこだろう。



虫の鳴く声が聞こえる。



誰かが泣いているような声がする。



……誰?



『ガチャ』



さっき閉まった何かが開いたんだろう、音がした。



いつの間にか寝ていたらしい。



まだ視界は真っ暗だ。



けれど、家とは違うどこかにいることは知れた。



虫の声がする。


誰かが泣いてるような気がする。



あぁ、気のせい…。



泣いているのは、僕かもしれない。






あの声は飼い主さんの声。



あの足音はきっと、飼い主さんの…だから。





泣いていたのは、僕だった。







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