黒猫の気ままに
ここは…?
目が覚めると、そこはまだ暗かった。
さっきよりも暗い。
また夜がやってきたんだろう。
「大丈夫ですかぃ?」
ふと、寝っころがっていた背の後ろの方から声がした。
くるんと体を回転させ後ろを向く。
そこには細い、きらっと光る瞳の白猫が座っていた。
「こんばんわ。俺ぁここ一帯で暮らしてる、雪というもんでさぁ。おたく倒れてたんですぜ。ところで名前は?」
倒れてた…?んだ。
黒は座り直して首を傾げた。
「ここで倒れてたんですか…。ところでこんばんわとはなんですか?雪とは…?」
初めて知らない猫に会った。
「こんばんわは夜の挨拶でぃ。なんだぁ、そんなことも知らないんですかぃ。まぁここ寒いんでとりあえず俺んちでも寄ってきませんかぃ?」
黒も同じことを思ってたので、その首を一回縦に振った。
今夜は冷えますね。