黒猫の気ままに
辺りは夜が明けてきて、辺りは橙色に明るくなり始めていた。
太陽は見えない。
辺りは山で、家らしきものは見えない。
お腹も限界だった。
「君…は、お悩みですか?」
悩んでいるのですか?
空から不意に、声が降り注いだ。
はっ、と黒は顔を上げる。
けれどそこには誰もいない。
「何か探しものですか?ん?真実?」
声の主は続ける。
黒は辺りをぐるっと見回すけれど何も見えない。
なんでわかるの?
黒はその声の主に聞いた。
「そんな顔してるからさ。」
声の主はそう言って、ふわっと黒の前に現れた。
「あっ。」
黒は思わずのけ反る。
目の前には、黒いマントを羽織った、何とも怪しげな男が立っていた。