黒猫の気ままに
「んー、君は今、お悩みなんだね。」
その男は言った。
黒は首を傾げる。
「…よくわかんない。」
おや。
男は言って黒と同じように首を傾げた。
「願いってあるかい?」
「願い?」
そう。
自分があーなりたい、こーなりたい。
あれが欲しい、これが欲しい。
自分の望むもの。
「お腹すいた。」
「そーだったか♪」
はははと笑って、男は被っていた黒いハットをひっくり返す。
ごそごそ中を掻き回して、「あった」と呟くと、中から何かを取り出した。
「かにかま好きかい?」
「?」
黒は首を傾げる。
「かにかま知らないのか。」
男は再びはははと笑った。