黒猫の気ままに
「目を閉じて。」
男は黒に棒を向けた。
「ねぇ。」
目を閉じて、黒が言った。
「中身は僕だよね?」
もちろんです。
男は言って、すーっと深く息を吸う。
見た目が変わるだけ。
見た目だけ。
見た目が変わるだけで、多くの事が一緒に変わるんだ。
胸が弾けそうだ。
初めてだ。
こんなに不思議な気持ちは。
「眠るように、」
黒の毛がなびく。
ふわふわと、毛は色褪せたように色素が薄くなっていく。
やがて黒かった毛の色は、薄く、薄くなって、最後には真っ白になった。