黒猫の気ままに
白は、元来た道を走った。
途中渡った木で出来た橋は、白が渡るには『とんとん』と軽快な足音がする。
下を流れる川では子供達が遊んでいた。
虫採り網を振りかざす少年と、バシャバシャと水の中を歩く少女。
彼らが狙っているのは、川の中でキラキラと光るメダカ。
川岸に置いてある青いバケツでは、既に何匹かのメダカが泳いでいた。
橋の上の白は、川で遊ぶ数人の子供達に目を奪われた。
そうしてしばらく見ているうちに、一人の女の子が白に気付いた。
「あっ、白猫!」
「どこ!」
女の子が白の方を指差した。
男の子はすかさず反応すると、橋の上の白の方へ走った。