黒猫の気ままに
2
牛乳
『バタン。』
玄関の扉が閉まる音が廊下に響く。
「おかえりー。」
「…ただいまー。」
キッチンから聞こえた母の声を聞きながら、冷静を装う。
鳴かれてばれないように、抱えたままの白を一先ず部屋に置いてこようと、リビングの扉の前を横歩きで通すぎ、部屋へ上がる階段を駆け上がった。
「待っててね。」
部屋に入れた白を内側に、部屋の扉を閉めた。
「ただいま。」
「さっき聞いたわよ。」
キッチンに来ると、母は背中を向けたまま言った。