第六魔法学校の紅と碧
つい先ほど、5人目の親代わりである人に家を追い出されたのだ。
原因になるようなことは何ひとつしたつもりがない茜としては、誠に遺憾であると言わざるを得ない。
だけどいつもこうなのだ。
いつも何故かーー関わる時間が経てば経つほど、人に嫌われてしまうのだ。
茜は赤みがかった茶色い瞳を細め、画面の中で繰り広げられる物語を遠い世界の出来事のように眺める。
しかし何者かが近づいてくる気配に気づき、画面から目を離して視線だけを横に向けた。
「……ああ、そーだよな。そろそろお前らが来る頃だよな」
『それ』は音もなく現れ、茜の周囲を取り囲んだ。
地面からにょろりと生えた黒い身体に、ギョロッとした大きな一つ眼だけがついている。一見するとシンプルなデザインで見ようによってはディフォルメされたマスコットのように見えるが、彼らがそんな可愛らしい存在ではないことを茜は知っている。
『お、マエ…うまソウダ、ナ』
「開口一番それかよ。お前らはいっつも食欲だな」
『くわセ、ロ!』
彼らはグワッと一斉に大きな口を開けた。その見た目のデザインに全く似つかわしくない凶悪な歯と、グロテスクな口内。もはや見慣れたものだが、何度見ても気味が悪い見た目だ。茜は不快そうに顔をしかめた。
これがどういう存在なのかは知らない。
霊的な何かなのか、あるいは妖怪やモンスターといった類のものかもしれない。
茜は物心ついた頃から彼らを見ているが、どうやら他の人には見えないらしい。しかも、襲ってくるのも自分にだけ。
だから誰かに助けを求めることもなく、茜はこれまでたった1人で彼らから逃げ続けてきた。
「……けど、このままお前らに食われてもいいかもな」
茜がいなくても、困る人は誰もいない。
諦めた目でスマホに視線を戻す茜を見て、獲物に抵抗する気がないと見た奴らが襲いかかってきた。
その牙が、茜の身体に届く寸前。
原因になるようなことは何ひとつしたつもりがない茜としては、誠に遺憾であると言わざるを得ない。
だけどいつもこうなのだ。
いつも何故かーー関わる時間が経てば経つほど、人に嫌われてしまうのだ。
茜は赤みがかった茶色い瞳を細め、画面の中で繰り広げられる物語を遠い世界の出来事のように眺める。
しかし何者かが近づいてくる気配に気づき、画面から目を離して視線だけを横に向けた。
「……ああ、そーだよな。そろそろお前らが来る頃だよな」
『それ』は音もなく現れ、茜の周囲を取り囲んだ。
地面からにょろりと生えた黒い身体に、ギョロッとした大きな一つ眼だけがついている。一見するとシンプルなデザインで見ようによってはディフォルメされたマスコットのように見えるが、彼らがそんな可愛らしい存在ではないことを茜は知っている。
『お、マエ…うまソウダ、ナ』
「開口一番それかよ。お前らはいっつも食欲だな」
『くわセ、ロ!』
彼らはグワッと一斉に大きな口を開けた。その見た目のデザインに全く似つかわしくない凶悪な歯と、グロテスクな口内。もはや見慣れたものだが、何度見ても気味が悪い見た目だ。茜は不快そうに顔をしかめた。
これがどういう存在なのかは知らない。
霊的な何かなのか、あるいは妖怪やモンスターといった類のものかもしれない。
茜は物心ついた頃から彼らを見ているが、どうやら他の人には見えないらしい。しかも、襲ってくるのも自分にだけ。
だから誰かに助けを求めることもなく、茜はこれまでたった1人で彼らから逃げ続けてきた。
「……けど、このままお前らに食われてもいいかもな」
茜がいなくても、困る人は誰もいない。
諦めた目でスマホに視線を戻す茜を見て、獲物に抵抗する気がないと見た奴らが襲いかかってきた。
その牙が、茜の身体に届く寸前。