君を想って
1話
第一志望校に合格した私は今日、入学式を迎える。新たな出会いと不安を胸に私の高校生活が始まる。

「神野音寧」
個名で名前を呼ばれた私は「はい」と返事をしてその場に立つ。緊張は何回目の入学式でもするものだと思いつつ、胸を張って立っていた。

「如月幸太」私の次の男子生徒が名前を呼ばれる。如月という男子生徒は大きな声で返事を立った。あまりに身長が高いので私はつい横目を送ってしまった。

身長が高い男の子。それが私の初恋の人物の第一印象だった。

教室に戻ると右も左知らない顔ばかり。私は、大好きな吹奏楽をするために地元を離れこの高校に進学した。

席に着くと後ろから声をかけられる。

「あのさ、神野さんだっけ?さっき入学式のとき俺のこと見たよね?なにか顔についてた?」

声をかけてきたのは入学式のときについ横目を送ってしまった、如月幸太だった。

「あっ、ごめん、身長高いなーと思ってつい」

「あー、なるほどね」
彼はクスクスと笑いだした。

そんな笑顔に少しだけキュンときた高校生活の初日。

私はまだ知らない、これから先に起こる悲しみを。
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