奇聞録九巡目



家の壁に突然現れた顔のような染み。



無表情のまま気味悪く浮かび上がっている。



ある日、染みの顔が叫び声を上げている表情を見せていた。



なんだろうなと思い、夜間車を走らせていたとき、やってしまった。



老婆をはねてしまった。


恐る恐る車を降りて確認すると、どこかで見たことがある顔だった。



壁の絶叫した顔だった・・・。



恐ろしくなってそのままで逃げてしまった。



家に帰り、何気なく壁の前を通り過ぎたとき誰かに呼び止められた。







−逃げたな・・・。−




確かに言われた・・・。



壁の染みから言われた・・・。




翌日警察に出頭するも、そんな事故はなかったと言われた。





壁の染みは、普通の染みに戻っていた・・・。


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