神井くん 初めてのチュウ
抱き締めるといつも彼女は電流が流れたみたいにビクッとする。でもしばらくすると柔らかい身体を俺に預けて来る。今日も彼女は驚いて固まってしまったけど、嫌がってるわけじゃない。傘で作られた狭くて寒い部屋の中は隙間だらけで、冷たい霧雨が吹き込んでくる。でもそんなの気にならない。俺の腕の中には確かに温かな彼女がいる。俺の頬が火照って、熱くなってきた。自分の顔から険が抜けて、静かに笑っているのが、自分で分かる。彼女が気付いて微笑みを返す。
「髪、濡れてる。おでこも。」
少し濡れて乱れた髪、しっとりと湿った肌。手で彼女の前髪をとかし、こめかみの髪を耳にかける。
「多恵が好きなんだ。」
「うん。」
「なんで、こんなに、ドキドキするのか、自分でもよくわからないんだけど。。」
「うん。」
柔らかな身体を抱き締めながら、長い髪を梳き、彼女のこめかみに唇をよせると、彼女が気持ち良さそうに顎を上げて目を閉じた。ぷるんとした唇が軽く開いてため息が漏れる。この唇。白い首筋。これって、そういう事なのか?
「多恵」
呼ぶと彼女は目を開けて、俺の瞳を見て、恥ずかしそうに俯いた。
「目を閉じて。」
俺がいうと、彼女は素直に目を閉じた。
いいのかな。いいよな。意を決して彼女の唇を見つめる。うっすらと微笑んでいた唇が、一度小さく開いて、また閉じた。
いやでも、ここって、住宅街のそれも道路のそれもど真ん中だ。初めてがこんなところで良いんだろうか。でも、目を閉じてくれたし、あたりは真っ暗だ。見る限り近くには誰もいない。絶対オッケーだ。いや待てよ。本当にそういう意味なのか?彼女の事だから、意味が分かってない可能性もあるぞ。いやいや、これでやらなきゃ男じゃないだろ。今更やめたらヘタレって思われる。いや、彼女はそんなこと気にしない。それに多分、何も分かってない。だって、こんなに顎引いてたらやりにくいし、上手くできないじゃないか。
彼女の唇が頭の中でぐるぐる回る。さっきしていたみたいに顎を上げて、そのぽってりした唇を俺に向けてくれよ。
「髪、濡れてる。おでこも。」
少し濡れて乱れた髪、しっとりと湿った肌。手で彼女の前髪をとかし、こめかみの髪を耳にかける。
「多恵が好きなんだ。」
「うん。」
「なんで、こんなに、ドキドキするのか、自分でもよくわからないんだけど。。」
「うん。」
柔らかな身体を抱き締めながら、長い髪を梳き、彼女のこめかみに唇をよせると、彼女が気持ち良さそうに顎を上げて目を閉じた。ぷるんとした唇が軽く開いてため息が漏れる。この唇。白い首筋。これって、そういう事なのか?
「多恵」
呼ぶと彼女は目を開けて、俺の瞳を見て、恥ずかしそうに俯いた。
「目を閉じて。」
俺がいうと、彼女は素直に目を閉じた。
いいのかな。いいよな。意を決して彼女の唇を見つめる。うっすらと微笑んでいた唇が、一度小さく開いて、また閉じた。
いやでも、ここって、住宅街のそれも道路のそれもど真ん中だ。初めてがこんなところで良いんだろうか。でも、目を閉じてくれたし、あたりは真っ暗だ。見る限り近くには誰もいない。絶対オッケーだ。いや待てよ。本当にそういう意味なのか?彼女の事だから、意味が分かってない可能性もあるぞ。いやいや、これでやらなきゃ男じゃないだろ。今更やめたらヘタレって思われる。いや、彼女はそんなこと気にしない。それに多分、何も分かってない。だって、こんなに顎引いてたらやりにくいし、上手くできないじゃないか。
彼女の唇が頭の中でぐるぐる回る。さっきしていたみたいに顎を上げて、そのぽってりした唇を俺に向けてくれよ。