鬼社長のお気に入り!?
「杉野さん、本当に大丈夫?」


 すると加納さんが心配そうに私の顔を覗き込んで言った。


「はい、まだまだ勉強不足ですけど、なんとかなると思います」


「なんとか、ねぇ……杉野さん、あんまり軽く考えてるとここの会社ではうまくやっていけないよ?」


「え……?」


 加納さんの曇らせた表情に私も仕事の手を止めて向き直る。


「武川ファニチャーなんて大手だし、今まで八神さんが担当してたから信頼されてるけど、ここで万が一失敗したら契約が一本途絶えることになる。信用も失う。うちみたいな小さな会社は一本契約が切られるだけで命取りなんだよ……桐生電機みたいな大手にいたらわからないかもしれないけどさ」


 ちょっと待って、なんで私が失敗する前提で話しが進んでるのよ――。


 きっと加納さんは私では力不足だと思っているんだ。だったら見返すのみだ。
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