鬼社長のお気に入り!?
「あはは、お前は本当に面白い女だな」


「え……?」


「偽り……か、そんなこと初めて言われたな」


「す、すみません! 私、なんか生意気言いましたね」


 我に返ると自分が八神さんに言いたい放題言ってしまったことを激しく後悔した。けれど、暗闇でもがいているならその手を掴んで助け出してあげたいと、思い上がりかもしれないけれど素直にそう思った。


「全然頼りない私ですけど、私……八神さんの力になりたいんです」


「ふん、お前なんぞの力になられるなんて、俺も堕ちたな」


 もう! 素直じゃないんだから! そりゃ、頼りないかもしれないけどさ……。


「でも……ありがとうな」


 私が頬を膨らませていると、不器用に八神さんの大きな手が私の頭にぽすっと乗せられた。それは暖かくて心地いい、本当の八神さんを唯一感じる温もりのような気がした。
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