鬼社長のお気に入り!?
※ ※ ※
仕事を終え、八神さんと約束の場所まで歩いている途中、バッグの中のスマホが震えた。
「もしもし?」
『あ、愛理? 私だけど』
その電話は美智からだった。あの桐生電機の発表会以来、美智とお互い話す機会もなく、心の底では美智に恨まれているのだと思い込んでいた。美智とは長い付き合いだったが、こんなことで友情が壊れてしまったのは全部私のせいだ。
「美智……」
『どーしたのよ? なんか声暗い。あ、わかった! クリスマスだってのに今お一人様?』
「そ、そんなんじゃないけど……あのさ、美智……」
『怒ってるわよ』
美智の声が急に鋭くなって、私の胸を刺した。美智の口から何を言われるのかと想像するだけで怖い。
「ご、ごめ――」
『どうしてあんなこと、ひとりで悩んでたの?』
「え……?」
美智の予想外の言葉に思わず声を詰まらせてしまう。
『こっちも忙しくて愛理の話しもろくに聞いてあげられなかったから悪いと思ってる。でもね、桐生さんのこと……結構前から八神さんに聞いてたんじゃない?』
確かに美智の言うとおりだ。過去に桐生社長がヤガミ工業を裏切ったことや、ヤガミ工業の商品を桐生電機がコピーしていたことも、全部自分の胸の中にしまいこんでいた。桐生電機にいまでも勤めている美智にとっては酷な話しだったし、どう説明していいかもわからなかった。
仕事を終え、八神さんと約束の場所まで歩いている途中、バッグの中のスマホが震えた。
「もしもし?」
『あ、愛理? 私だけど』
その電話は美智からだった。あの桐生電機の発表会以来、美智とお互い話す機会もなく、心の底では美智に恨まれているのだと思い込んでいた。美智とは長い付き合いだったが、こんなことで友情が壊れてしまったのは全部私のせいだ。
「美智……」
『どーしたのよ? なんか声暗い。あ、わかった! クリスマスだってのに今お一人様?』
「そ、そんなんじゃないけど……あのさ、美智……」
『怒ってるわよ』
美智の声が急に鋭くなって、私の胸を刺した。美智の口から何を言われるのかと想像するだけで怖い。
「ご、ごめ――」
『どうしてあんなこと、ひとりで悩んでたの?』
「え……?」
美智の予想外の言葉に思わず声を詰まらせてしまう。
『こっちも忙しくて愛理の話しもろくに聞いてあげられなかったから悪いと思ってる。でもね、桐生さんのこと……結構前から八神さんに聞いてたんじゃない?』
確かに美智の言うとおりだ。過去に桐生社長がヤガミ工業を裏切ったことや、ヤガミ工業の商品を桐生電機がコピーしていたことも、全部自分の胸の中にしまいこんでいた。桐生電機にいまでも勤めている美智にとっては酷な話しだったし、どう説明していいかもわからなかった。