鬼社長のお気に入り!?
終章 極上の人
「遅い」
「すみません! 時間通りに着けると思ったんですけど」
今夜はクリスマス。時間通りにたどり着けると思っていたが、人の波をくぐってようやく着いた頃には五分遅刻していた。
八神さんは時間にはうるさい人だ。
乱れた息を整え、改めて周りを見回してみると、街はクリスマスの夜を楽しむ恋人たちの姿で溢れかえっていた。
私たちも、恋人同士……ってことでいいんだよね――?
八神さんと恋人になるなんて数ヶ月前までは想像もしていなかった。今も嘘みたいな気持ちで、ただの会社の上司なのかそうでないのかわからなくなる。
「あの、怪我の方はもういいんですか?」
「あぁ、平気だ。あんなかすり傷で入院だなんて、病院側も大げさなんだよ」
八神さんに促されて歩き出す。私は八神さんの怪我が気がかりでならなかった。いまだに桐生さんに刺された時の光景を思い出すと足がすくんでしまう。
「まぁ、それより今夜はお前にどうしても見せたいものがあってさ、わざわざ呼び出したんだけど……」
「はい」
八神さんを見るとなんだか落ち着かないような、目を泳がせてなにか言いたげにしている。
「すみません! 時間通りに着けると思ったんですけど」
今夜はクリスマス。時間通りにたどり着けると思っていたが、人の波をくぐってようやく着いた頃には五分遅刻していた。
八神さんは時間にはうるさい人だ。
乱れた息を整え、改めて周りを見回してみると、街はクリスマスの夜を楽しむ恋人たちの姿で溢れかえっていた。
私たちも、恋人同士……ってことでいいんだよね――?
八神さんと恋人になるなんて数ヶ月前までは想像もしていなかった。今も嘘みたいな気持ちで、ただの会社の上司なのかそうでないのかわからなくなる。
「あの、怪我の方はもういいんですか?」
「あぁ、平気だ。あんなかすり傷で入院だなんて、病院側も大げさなんだよ」
八神さんに促されて歩き出す。私は八神さんの怪我が気がかりでならなかった。いまだに桐生さんに刺された時の光景を思い出すと足がすくんでしまう。
「まぁ、それより今夜はお前にどうしても見せたいものがあってさ、わざわざ呼び出したんだけど……」
「はい」
八神さんを見るとなんだか落ち着かないような、目を泳がせてなにか言いたげにしている。