鬼社長のお気に入り!?
 そして数十分後――。


「えぇ、じゃあまた図案が出来上がったらデータでまた送りますよ」


「よろしくお願いしますね」


 しばらくするとマスターが奥から出てきて、続いて一人の背の高い男の人が出てきた。


「あぁ、愛理ちゃんまだいてくれたんだね。今度新しく照明入れようかと思ってるんだけど、その打ち合わせでさ。あぁせっかくだから何かお出ししますよ」


 マスターが帰り支度をしている背の高い男の人に声をかけると、「それでは遠慮なく」と言って私の隣のスツールに腰を下ろした。


「お隣いいですか? ここしか席が空いてないみたいなので」


「えぇ、どうぞ」


 ……ん? あれ? この人どっかで――。


 その既視感に私は記憶の扉を開けていく。誰だったか思い出せそうで思い出せない。
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