鬼社長のお気に入り!?
「お元気そうで何よりです。髪、切ったんですね」


「え……？」


　すると向こうから声をかけてきて、私は思わず驚いてしまった。


「いやだな、もしかして忘れてしまいましたか？　EXPOではあんなに熱く語ってくれたっていうのに」


「あーっ！」


　そうだ！　そうだそうだ。思い出した！　エレクトロニックEXPOで私の商品説明を熱心に聞いてくれたあのジェントルマンさんだ！　メガネしてないからわからなかったよ――。


　偶然の再会に私の胸が弾む。記憶の中の彼が少しずつ思い出されて目の前の彼と重なった。


　さらっと指通りの良さそうな黒い髪に整った顔立ち、そして趣味の良さそうな服装。EXPOの時はかけていた黒縁のメガネはしておらず、それはそれでまた新鮮な印象を受けた。
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