1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「ねーね!あそぼうよ~」

「ねぇね、だっこ~」

 お姉ちゃんの体は2つもないんだよ~!
 智希は何をして遊びたいの?そして望亜は泣かないで~!?

 小さな2人に振り回される私を見て、お父さんもお母さんも笑ってるだけ。少しはお助け下さい。

「とも、みあ。今日はなんの日だったかなぁ」

 ようやく天の声が聞こえてきました!
 遅すぎます!!

 私にしがみついて離れようとしない智希と望亜は、お母さんの言葉にピタリと動きをやめて首をかしげる。

 そしてしばらく考えた後、智希が思い出したように声をあげる。望亜は分かってないのにあーとお兄ちゃんのまねっこ。


 何でしょうこのかわいい生物は。


「みあ、ねーねかくほー!」

「あーい!」

 むぎゅっと左右から抱きつかれる。
 えーと、さっきから確保されてますよ?お姉ちゃんは…。

「さて、主役が捕まったところではじめるか」

 ソファから立ち上がったお父さんはニヤリと笑う。はう、イケメンさんはそんなに微笑まないでください。

 そんな私の心情などいず知らず。お父さんは私の両脇に手を…おおお!?

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