1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「まさか情報屋がこんなチビだとは思ってなかったな」

『うぐ…ん~ん!!』

「おっと、暴れんじゃねぇよ。おい、さっさと連れてくぞ」

 連れて行くってどこにですか!?

 抵抗しても、男の人の力には敵わない。
 ずるずると引きずられる様にどこかに連れて行かれる。

 なんで周りの人は気づかないんですか!?

 見れば、先ほどタンクトップの周りにいたサラリーマンや不良らしき学生たちがさりげなく周りを囲み、周りの人たちの視線を塞いでいる。

 仲間だったのか…。

 ギリッと奥歯を噛みしめる。
 どうする、このまま連れていかれれば何をされるか分からない。
 それに、女だと気づかれれば、まずい。

「なぁ、こいつの素顔みねぇのか」

「んなもん後にしろ。車に乗せちまえばいくらでも見れんだろ」

 タンクトップを着た男がここのトップか…。

 歳は高校生か、大学生か…周りにいる男たちを見ても、おそらくこいつらは本職じゃないです。

 だとすれば暴走族。
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