1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
総長の男が、目の前まで来ると、フード越しに髪の毛を掴み無理矢理顔を上げられる。
痛い…。
『っく…』
「お前の持ってる情報、すべて吐いてもらう」
情報を…そんなこと、出来るはずがない。
私の持っている情報は、私を信用してくれた人が必死に探し出してくれたもの。
それを、こんな奴らに教えることなんて出来ない…!
『放っ…あぐ』
「うるせぇ!!」
痛い…痛い、痛い…。
突然背を踏まれている感覚がなくなると、思いっきり脇腹を蹴られた。
それだけでは飽き足りないのか、私を踏んでいた男は怒り任せにいろんなところを蹴ってくる。
いっそ、飛ばされれば楽なのに、男はわざと蹴りを押し付けるように出してくるせいで、私の体はほとんどその場から動かない。