1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

 総長の男が、目の前まで来ると、フード越しに髪の毛を掴み無理矢理顔を上げられる。
 痛い…。

『っく…』

「お前の持ってる情報、すべて吐いてもらう」

 情報を…そんなこと、出来るはずがない。

 私の持っている情報は、私を信用してくれた人が必死に探し出してくれたもの。
 それを、こんな奴らに教えることなんて出来ない…!

『放っ…あぐ』

「うるせぇ!!」

 痛い…痛い、痛い…。


 突然背を踏まれている感覚がなくなると、思いっきり脇腹を蹴られた。

 それだけでは飽き足りないのか、私を踏んでいた男は怒り任せにいろんなところを蹴ってくる。

 いっそ、飛ばされれば楽なのに、男はわざと蹴りを押し付けるように出してくるせいで、私の体はほとんどその場から動かない。
< 104 / 313 >

この作品をシェア

pagetop