1人ぼっちと1匹オオカミ(上)
「…じゃあな。俺諦めねぇから、あんたに絶対認めさせるから」
「あ、待って!」
思わず呼び止めると、神野くんは、足を止めて振り返る。
顔を見せる勇気はない。
だけど、それでもいいなら…。
「顔は見せれない。…でも、あなたがいいというなら、取引の時近くに居てくれないか」
「…それは、どういう意味?」
「…今日みたいなことがあった時、私は1人で逃げ切る自信がない。だからと言って、相手を倒せない」
「…つまり、ボディーガードとして傍に置こうってこと?」
神野くんの言葉に、何も言い返せません。要はそう言うことです。
馬鹿げてる。そんな勝手な理由で、私は神野くんを縛ろうとしている。
そんなの、勝手すぎます。
「…いいよ。あんたに飼われるなら、いいよ」